手術@原三信

2024.09.05/経皮的腎瘻造設術

経皮的腎瘻造設術[腎盂腎炎]

診断(検査結果)の報告・治療方針の説明

午前中の検査から 腎盂腎炎 と診断。 経皮的腎瘻造設術 という手術をしなければならないとのこと。

  • 腎盂(腎臓の一部)に細菌が侵入して感染症を起こしています。左腎に結石が2つ、左尿管にも結石が2つあり、前者の腎結石が腎盂で尿を堰き止めている状況です。
  • 細菌(が増殖した尿)を外に出さなければなりません。
  • 尿管内に細い管を留置する『尿管ステント留置』か、背部から腎臓内に細い管を留置する『経皮的腎瘻造設』という方法がありますが、ⓢは尿管が蛇行しているためステントでは腎盂まで届かないと判断し『経皮的腎瘻造設』で対応することにしました。
  • 予定されている手術がいくつもあって現時点ではどこのオペ室も空いていないのですが、早期対応しなければならないので本日中にオペ室が空き次第手術をします。1〜1.5時間程度の手術です。
  • 麻酔は局所麻酔。
経皮的腎瘻造設術とは

腎瘻カテーテル(尿を出すための細い管)を背部より直接腎臓内に挿入〜留置する施術。

尿管ステント留置術とは

尿腎臓と膀胱をつなぐ尿管が塞がらないように、尿管ステントという管(拡張可能な網目状の小さい金属製の筒)を留置する施術。

(サインした書類)
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左結石性腎盂腎炎

腎盂腎炎(じんうじんえん)とは

腸内細菌(特に大腸菌)が尿道を通って膀胱に入り、腎盂(じんう)内で増殖し感染を引き起こす病気。

《参考:腎臓の病気:腎盂腎炎

ⓢの発熱(高熱)はこの感染症からの症状。

経皮的腎瘻造設術

約1時間(14:00〜15:00)で無事終了。

腎瘻(じんろう)とは

背中から腎臓に挿し込まれたチューブのこと。腎盂に溜まっている尿を排出するために使用。

今後の治療

 治療名  抗菌薬点滴

しばらくは抗菌剤を点滴して、経皮腎瘻(今回の手術で挿したチューブ)から腎盂内の細菌を出す。
早い人で約1週間、遅くとも2週間程度で細菌が減る。
尿道カテーテル(千鳥橋病院で対応)もそのまま留置。(しばらく寝たきり=トイレに行けない=膀胱に溜まる尿を出すため=おむつ替え不要)

今後、
 ①経皮腎瘻を使って腎結石を取り除く手術
 ②尿管結石を取り除く手術
が必要で、トータルで数ヶ月入院することになる。次回の手術(①or②)は、約1ヶ月後の10月初旬になるだろう。

腎盂内の細菌がなくなれば次回の手術まで一時退院する人もいるが、腎瘻をつけたままにしなければならないので、退院中の期間、施設が腎瘻対応できない場合は入院を継続。


2024.10.17/末梢静脈カテーテル

末梢静脈カテーテル

『手術』ではないけれど、記録。

点滴の説明①

 経尿道的尿路結石除去術  経皮的尿路結石除去術 の手術説明とあわせて、中野医師より今後の点滴についてお話があった。

  • 点滴(投薬・栄養補給・水分補給)治療はまだまだ継続しなければならない状態。
  • ⓢは点滴ルート確保が困難。何度も点滴の針を抜き刺しするのも体に負担がかかる。
  • クロピドグレル(血液サラサラの薬)も飲んでいるので、出血リスクもある。
  • 点滴カテーテルを留置して、今後はその1箇所から点滴投与する。
  • 『CVポート』ではなく『CV』という “点滴カテーテルを中心静脈に留置する処置” をします。
クロピドグレルとは

抗血栓薬といって『抗血小板薬』と『抗凝固薬』に分類される。ⓢが服用中のクロピドグレルは『抗血小板薬』で、血管の中でできる血の塊(血栓)を予防する “血液サラサラの薬” 。 

抗血栓薬と手術

薬を止めずに手術を行うとひどい出血が手術中に起こる可能性がある反面、薬を止めて手術を行うと血栓リスクが高くなり脳梗塞・心筋梗塞が発生する危険性が増す。手術を受ける際には出血の増加を防ぐために事前に休薬するなどの対応が必要だが、急に抗凝固療法を中止すると、リバウンド現象として一過性に血栓形成が亢進し、血栓塞栓症を誘発する可能性が示唆されている。

末梢静脈・中心静脈
  • 【末梢静脈】点滴
    • 主に腕の表在に走行している静脈にカテーテルと呼ばれるプラスチック製の針を留置して行う点滴。入院や外来などで行われている処置の一つ。 主に水分、電解質の補給や薬剤の投与を目的として行う。 輸血なども末梢静脈から行われる。
  • 【中心静脈】点滴
    • 鎖骨や首、太ももの付け根にある太い血管から、中心静脈(心臓に近い太い血管=上大静脈)に長いチューブ(カテーテル)を挿入して行う点滴。 腕などの痛みや炎症などを起こす心配がない。 太い血管は、血液量が多く血液の流れも速いため、糖濃度の高い輸液も投与することができる。

点滴の説明②

  • 『CV』ではない方法になるそうです。

と、田原さん(看護師)から点滴カテーテルの留置方法が変更されるという報告があった。「『PICC』になるのかもしれません」と新しいワードが登場。

CV・CVポート・PICC
  • 【CV】【CVC】【CVカテーテル】=中心静脈カテーテル
    • 先端部を上大静脈まで挿入し留置するカテーテルのこと。カテーテルが体外(鎖骨や首)に出ている状態で点滴のたびに針を刺す必要がない。
  • 【CVポート】=皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート
    • CVカテーテルの一種で、体内に埋め込むための小手術が必要。点滴のたびに専用の針を刺す必要があるが、セプタムと呼ばれる圧縮されたシリコーンゴムに針を刺す仕様。
  • 【PICC】=末梢挿入型中心静脈カテーテル
    • 先端部を上大静脈まで挿入し留置するカテーテルだが、上腕などの末梢静脈から挿入。

《参考:CVカテーテルとCVポートの違いについて知りたい
《参考:【PICC について】・【CV ポートについて】

点滴の説明③

麻酔科の安部医師が来室されたので、詳細説明をお願いした。

  • 当初は『CV』(先端部が中心静脈まで挿入されたカテーテル/点滴のたびに針を刺す必要がない=出血リスクなし)を予定していました。
  • 末梢静脈でよい(中心静脈までカテーテルの先端が届いていなくてよい)ということになりました。
  • 都度針を刺さずに済むような仕様にするため、末梢静脈カテーテル(一般的な点滴)をテープではなく糸で固定するような方法をとります。
  • 手術ではないので説明書や同意書はありませんが、局所麻酔してエコーを使って最適な血管・部位に設置します。右上腕になると思います。

点滴カテーテル留置処置

麻酔科医や看護師数名が来室。どこかの処置室へ連れて行かれるのかと思っていたら、機材をいろいろ持ち込まれて病室で対応。(15:30〜16:00)。

ⓝメモ

今回の処置(カテーテル留置方法)は調べても調べても名称がわからなかった。

ⓢの場合、投薬・水分補給がメインなので、中心静脈ではなく末梢静脈でよい。
ⓢは末梢静脈のルートが取りづらく、抗血小板薬(血液サラサラの薬)も服用中のため、何度も針を抜き刺ししない方法をとりたい。

点滴は “感染と静脈炎のリスクを減らすため” に “留置針を交換(さし替え)” が必要とのこと。

  1. 一般的な『末梢静脈カテーテル』は、72時間〜96時間。腕などから末梢静脈。
  2. 『CVカテーテル』は、留置可能(交換不可)。首などから中心静脈。
  3. 『CVポート』は、カテーテルのみ留置されていてポートに都度専用針を刺す。前胸部から中心静脈。
  4. 『PICC』は、留置可能(交換不可)。腕などから中心静脈。

基本的には A. なのだが、D. の『中心静脈までカテーテルが伸びてないバーション』という感じなのだろう…と解釈。


2024.10.18/尿路結石除去

経尿道的尿路結石除去術[尿管結石]
経皮的尿路結石除去術[腎・尿管結石]

手術の説明①

 尿管結石  経尿道的尿路結石除去術 と、 腎・尿管結石  経皮的尿路結石除去術 という手術の説明書・同意書(2種類)を渡されて、以下の説明があった。

  • 今回は『尿路結石』を除去する手術です。尿路からレーザーで結石を砕いて吸い出します。
  • 前回の手術で造設した腎瘻を少し広げる手術も行います。①今回の手術では、砕いた結石を流し出す水を入れるために使用します。②次回の手術では、『腎結石』を砕いたり吸い出すために使用します。
  • 訪問診療の担当医(ちどりばし在宅診療所/小野医師)にクロピドグレル(血液サラサラの薬)の停止について相談しましたが「脳梗塞の再発リスクがあるので休薬は許可できない」とのことなので、手術中に大量出血が起こる可能性があります。
    術後も血尿がしばらく続くと思います。
  • 今回も予定されている手術がいくつもあるので、10月18日の最終枠で手術することになりました。開始時間は未定ですが、決まり次第お伝えします。前回よりは時間がかかる手術(2〜3時間)になりますが、遅くとも18時までには終了すると思います。
  • 麻酔は全身麻酔。
  • 手術時に医療関係者の見学があります。(→了承)
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手術の説明②

  • 10月18日の朝一番の枠で手術することになりました。
  • 主治医の中野医師は外来担当曜日のため、三好医師が執刀します。

麻酔の説明

点滴の説明とあわせて、安部医師より説明あり。

  • 麻酔担当:下澤医師
  • 全身麻酔

左尿管結石

尿路結石(腎結石)
www.msdmanuals.com
尿路結石
www.msdmanuals.com

経尿道的尿路結石除去術
経皮的尿路結石除去術

経尿道的尿路結石除去術とは

尿道から内視鏡を尿管の中に通し、専用の装置(レーザー)で結石を砕いて摘出する施術。

経皮的尿路結石除去術とは

砕いた結石を流し出すための『水を通す』目的で使用するため、最初の手術(9/5)で造設した腎瘻を『広げる』手術を行います。

約4時間(9:00〜13:00)で無事終了。取り出した結石(の一部)を受け取った。

  • 結石が大きく、破砕に時間を要したけれど、術中の出血もほとんどなかった。
  • 腎瘻から水を入れて結石を流し出した。(経皮的尿路結石除去術に該当)
  • 術後しばらく血尿が出ることがある。

2024.10.25/腎結石除去

経尿道的尿路結石除去術[腎結石]
経皮的尿路結石除去術[腎・尿管結石]

手術の説明①

 腎結石  経尿道的尿路結石除去術 と、 腎・尿管結石  経皮的尿路結石除去術 という手術の説明書・同意書(2種類)を渡されて、以下の説明があった。

  • 今回は『腎結石』を除去する手術です。腎瘻からレーザーで結石を砕いて吸い出します。
  • 前回(10/18)の手術で挿入したカテーテルはそのまま留置してあり、そちらから『腎結石』を吸い出すこともあります。
  • 術中・術後に出血があれば、クロピドグレル(血液サラサラの薬)の休薬をすることになるかもしれません。脳梗塞再発リスクについてはご承知おきください。
  • 身体拘束については初回の同意書を継続とします。
  • 手術予定日は10月25日です。時間はまだ未定です。
  • 麻酔は全身麻酔。
(サインした書類)
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手術の説明②

  • 10月25日の手術は9時からです。
  • 主治医の中野医師は外来担当曜日のため、眞﨑医師が執刀します。

麻酔の説明

安部医師が術前挨拶に来室してくださった時、すでにⓝ退室後…。わざわざお電話を頂戴した。

  • 麻酔担当:平井医師
  • 全身麻酔
  • 術中の体の状態を管理し、臨機応変に対応する。
  • 手術が続いているので認知機能の低下などのリスクがないとは言い切れないが、最善を尽くす。

左腎結石・尿管結石

2024.10.18/尿路結石除去 参照。

経尿道的尿路結石除去術
経皮的尿路結石除去術

経尿道的尿路結石除去術とは

砕いた結石を流し出すために、前回の手術(10/18)で留置したカテーテルを使用します。

経皮的尿路結石除去術とは

腰から腎臓まで腎瘻(内視鏡の通り道)を作成し、腎臓内の結石を砕いて除去する手術。
初回の手術(9/5)で腎瘻は造設済み。2回目の手術(10/18)で拡張済み。

約4.5時間で(9:10〜13:50)で無事終了。執刀医の眞﨑医師から映像を見せてもらいながら説明を受けた。取り出した結石(の一部)も受け取った。

  • 結石は3cm級の大きな石が1つ、小さな石がたくさんあり、時間を要した。
  • 術中の出血はほとんどなかった。
  • 腎盂腎炎の原因は、今回除去した『腎結石』ではなく、前回除去した『尿管結石』。
  • 腎盂で尿を堰き止めていたのは『腎結石』。
  • 腎結石を90%除去できた。腎瘻(経皮的〜〜)から届く範囲すべてを除去した。
  • 残り10%は、腎瘻(経皮的〜〜)からでは届かない=深い場所にある。再手術して残りの10%を除去する場合、尿路(経尿道的〜〜)からの術式となる。
  • 10%残った結石を『残す』or『再手術して除去を試みる』を決めなくてはならない。主治医(中野医師)の考えと違うかもしれないが、私(眞﨑医師)は『残す』を勧める。
  • 《ⓝ「先生のお母様だとしたら、どうされますか?」》
    →結石が大きくなっていく可能性がある以上、再手術を勧めます。
  • 《ⓝ「外来時の最終の映像と、今日の術前の映像を比較させてもらえますか?」》
    →左が2021年、右が術前です。比較するとコレ(約7mm)が約3年でコレ(約3cm)くらいになってます。
  • 《ⓝ「ということはまた3年後くらいに今回のように結石が大きくなるということでしょうか?」》
    →一概に言えませんが、お母様は尿道の出口が狭くて尿が出にくい傾向にあります。結石が少しずつ大きくなる可能性はあります。
  • 《ⓝ「うちの母の場合は?」》
    →手術を繰り返すことで年齢的にも体力・病状的にも(出血や認知症の)リスクが高いこと、場所的に尿管からのアプローチになるがその内視鏡が届かない可能性があること、完全に除去できないかもしれないことから、再手術はしないほうが良いという見解です。
  • 《ⓝ「再手術をするかしないかを、今、この場で決めなければなりませんか?」》
    →主治医やご家族でご相談されてください。もし「する」と決められた場合は、来週または再来週になると思います。最善を尽くしますが、リスクについてもしっかりご検討ください。
  • 《ⓝ「腎瘻はとれますか?」》
    →術後の経過をみて問題なければ外します。
  • 《ⓝ「退院のメドは?」》
    →最終手術から約1週間〜10日後くらいではないでしょうか。経過観察後に主治医が決めます。
  • 《ⓝ「泌尿器科として退院許可を出していただけたとしても、それ以外の病状で退院ができないor転院の必要がある場合は、主治医やソーシャルワーカーさんと相談すればいいんですよね?」》
    →そのとおりです。

ⓝメモ

一旦、メインの手術は完了した。左腎結石を10%残したままになるけれど、執刀医も主治医も家族も『残す(再手術しない)』でファイナルアンサー。

  • 経過観察(再手術)用として体に残してあった腎瘻も11月1日に抜去済み。
  • 残置してあったカテーテルも退院後の受診(2025年2月3日)に抜去。